賃貸の退去と敷金

2026年9月29日確認
普通に暮らして付いた汚れ・キズと、年月による劣化の修繕費は、借主が払わなくてよいのが原則です。詳しく

借主が払うのは不注意や手入れ不足の分だけで、それも住んだ年数に応じて減ります。

  • 普通の汚れ・劣化は借主負担なし
  • 住んだ年数で負担は減る
  • 納得できなければ説明を求める

やることの順番

契約書を確かめ、掃除をしてから立ち会いで写真とメモを残します。精算書に納得できなければ説明を求めます。

1. 契約書で、解約を知らせる期限、原状回復の特約(クリーニング代など)、敷金を返す時期を確かめる。

2. 入居したときの写真やチェックリストを探す。

3. 退去の前に掃除をする(ゴミの撤去、水回りや換気扇の油汚れ)。

4. 退去の立ち会いで、貸主側と一緒に部屋を見て、写真とメモを残す。

5. 精算書の明細を確かめ、納得できない項目は説明を求める。

原状回復の範囲と負担の分け方

普通に暮らして付いた汚れ・キズと、年月による劣化の修繕費は、借主が払わなくてよいのが原則です。原状回復は、借りたときの状態に戻すことではありません。

続きを読む

国土交通省のガイドラインは、原状回復を、借主の故意・過失や普通でない使い方で付いた損耗・キズを直すことと定めています。借りた当時の状態に戻すことではありません。

年月による劣化(経年変化)と、普通に使って付く損耗(通常損耗)の修繕費は、家賃に含まれていると考えます(国土交通省)。

2020年4月1日施行の改正民法で、借主は通常損耗や経年変化を元に戻す義務を負わないと定められました(国土交通省)。

ガイドラインが示す例です。実際の負担は、契約の特約や損耗の程度で変わります。

  • 床

    貸主の負担(通常損耗・経年変化)
    家具を置いたへこみ・跡、日焼けによる畳の変色やフローリングの色落ち、次の入居者のための畳の表替え
    借主の負担(不注意・手入れ不足)
    飲み物をこぼして放置したシミ・カビ、冷蔵庫下のサビを放置した跡、引っ越し作業で付けたキズ
  • 壁・天井

    貸主の負担(通常損耗・経年変化)
    テレビや冷蔵庫の裏の黒ずみ(電気ヤケ)、ポスターの跡、画鋲・ピンの穴、日照によるクロスの変色
    借主の負担(不注意・手入れ不足)
    掃除を怠った台所の油汚れ、結露を放置して広がったカビ、タバコのヤニ・臭い、重い物をかけた釘・ネジ穴、落書き
  • 建具・柱

    貸主の負担(通常損耗・経年変化)
    次の入居者のための網戸の張り替え、地震で割れたガラス
    借主の負担(不注意・手入れ不足)
    ペットによるキズ・臭い、落書き
  • 設備・その他

    貸主の負担(通常損耗・経年変化)
    ふだん掃除をしていた場合の専門業者のハウスクリーニング、エアコンの内部洗浄(タバコの臭いなどがない場合)、鍵の交換(なくしたり壊したりしていない場合)、寿命による設備の故障
    借主の負担(不注意・手入れ不足)
    掃除を怠ったコンロ回り・換気扇の油汚れ、風呂・トイレ・洗面台の水あか・カビ、鍵をなくした・壊したときの交換

住んだ年数で借主の負担は減る(耐用年数の考え方)

借主が払う場合も、住んだ年数が長いほど負担の割合は小さくなります(国土交通省)。

続きを読む

たとえば壁紙(クロス)やカーペットは、6年で価値が1円になると考えます。入居時に張り替えたクロスなら、4年住んで退去すると、借主の負担は3分の1です(国土交通省の計算例)。

耐用年数の例:流し台は5年。エアコン・冷蔵庫・ガスレンジ・インターホンは6年。便器・洗面台は15年。ユニットバスや浴槽は建物の耐用年数を使います(国土交通省)。

年数を考えないものもあります。畳表・襖紙・障子紙は消耗品として扱います。鍵をなくしたときの交換費は全額が借主の負担です。フローリングの部分的な補修は、年数を考えず面積の単位で負担します(国土交通省)。

直す範囲は、キズのある部分に限るのが基本です。クロスは、キズのある面を含む1面分までは借主の負担でもやむを得ないとされています(国土交通省)。

借主の負担は、高級なクロスへのグレードアップの費用までは含みません(国土交通省)。

契約の特約を確かめる

ハウスクリーニング代などの特約は、契約書にはっきり書かれ、説明を受けて合意していれば払うことがあります。

続きを読む

ハウスクリーニング代など、通常より重い負担を借主に課す特約もあります。ガイドラインは、有効になる条件を3つ挙げています。必要で暴利でない理由があること、借主が通常を超える負担だと分かっていること、借主が負担する意思を示していること(国土交通省)。

契約書と重要事項説明書を読み返します。

入居時の写真と退去の立ち会い

入居時と退去時の部屋の状態を、写真とメモで残します。立ち会いでは、キズや汚れの原因をその場で確かめます。

続きを読む

退去のトラブルの大きな原因は、入居時と退去時の確認が足りないことです。ガイドラインは、部屋ごとのキズや汚れをチェックリストに書き、写真を撮るよう勧めています。後で争いになったときの証拠にもなります(国土交通省)。

入居のときは、キズや汚れ、備え付けの設備が動くかを、日付が分かる写真とメモで残します(国民生活センター)。

入居時の写真がなくても、入居時のやりとりや管理会社に知らせた記録を探します。

続きを読む

できれば貸主側と一緒に部屋を見て、写真を撮りメモを残します(国民生活センター)。

指摘されたキズや汚れが、入居時からか、普通に暮らして付いたものか、不注意によるものかを、その場で確かめます。

「直すところはない」と言われたのに、後から修繕費を求められたという相談があります(国民生活センター)。言われたことをメモし、書面は中身を読んでから署名します。

鍵は、受け取った本数をすべて返します。

敷金の精算と相談先

敷金は、明け渡した後に、滞納や借主が付けた損傷の修繕費を引いて返されます。納得できなければ明細の説明を求め、188に相談します。

続きを読む

敷金は、家賃の滞納や借主が付けた損傷の修繕費を引いて、残りが返されるお金です。「保証金」などの名前でも、同じ性質なら敷金です(国土交通省)。

敷金は、契約で別に決めていなければ、明け渡した後に返還を求められます。何日後かは契約書で確かめます(国土交通省)。

精算に納得できないときは、ガイドラインの基準を示して明細の説明を求め、話し合います(国民生活センター)。

消費者ホットライン188にかけると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます(消費者庁)。

話し合いで決着しないときは、60万円以下のお金の支払いを求める少額訴訟という手続きがあります。原則1回の審理で判決が出ます(国土交通省)。

関係する手続き

よくある質問

壁の画鋲の穴は借主が払いますか?

下地ボードの張り替えが要らない程度の画鋲・ピンの穴は、通常の損耗として貸主の負担とされています。重い物をかけるための釘・ネジ穴で張り替えが要る場合は借主の負担です。

ハウスクリーニング代は払わないといけませんか?

ふだん掃除をしていれば、原則は貸主の負担です。契約書に金額が書かれ、説明を受けて合意しているときは、払うことになる場合があります。

敷金はいつ返ってきますか?

契約で別に決めていなければ、部屋を明け渡した後に返還を求められます。何日後かは契約書で確かめます。

クロスの張り替え代を全額請求されました。

不注意による汚れでも、クロスは6年で価値が1円になると考えて負担が減ります。負担はキズのある面を含む1面分までです。明細の説明を求め、困ったら188に相談します。

やることを出す

情報の誤りや、追加してほしいことがあれば教えてください

教える